HSP/HSCってなに?

HSPってなに?

HSPとは、生まれつき「非常に感受性が強く敏感な気質もった人」という意味で、「Highly Sensitive Person(ハイリー・センシティブ・パーソン)」と呼ばれており、頭文字をとって「HSP」と呼ばれています。
米国の心理学者である、エイレン・N・アーロン博士が提唱した概念です。
人いちばい敏感な子供は、HSC=Highly Sencitive Child(ハイリー・センシティブ・チャイルド)といいます。

この世の中には、5人に1人という一定の割合でHSPが存在しており、後天的なものではなく先天的な気質、生まれ持った性質です。
この記事では「HSP」の性質を解説します。

HSPの特性4つ「DOES(ダズ)」

HSPには特徴的な4つの性質「DOSE」があります。
ひとつでも当てはまらないのであれば、おそらくHSPではありません。

1. 深く考える 「D : Depth Processing」

情報を深く処理する部位が活発なので、簡単に結論が出るような物事でも深く思考をめぐらせます
何かをするときに、すべての可能性を考えて、選ぶのにすごく時間かかかることが多いです。
じっくり観察して考える必要があるので、初めての人や場所で、行動を起こすのに時間がかかってしまいます。
「石橋をたたいて渡る」特性といえます。たたいて確認しても渡れないこともあります。
考えなくてもいいことを瞬時に考えてしまうのがHSPです。
人の気持ちや空気を読む能力があるので、子供(HSC)であれば、大人がするような深い質問をしたり、大人びたことを言ったりすることがあります。

2. 過剰に刺激を受けやすい 「O : Overstimulation」

物音、人混み、光、食べ物の味やにおい、身につけるもの、暑さや寒さなど、五感で受ける刺激に対して過度に反応します。
そして、相手の感情や周囲の雰囲気にも敏感です。
楽しいはずのイベントでも、目に入るものや音に刺激され、ぐったりと疲れてしまいます。
遠足の前の日には、楽しみすぎていろいろ考えてしまい、あまり眠れなくなったりします。
人に見られたり実力を試されるような場面では、いつもの力を発揮できないことがあります。
子供のHSCには強い叱責よりも、穏やかに言って聞かせるほうが効果的です。
すぐに刺激でいっぱいいっぱいになってしまう特性があります。

2. 共感力が高く感情の反応が強い 「E : Emotional response and empathy」

刺激に対する反応が強く表れやすく、深く共感できるため、涙もろく、また高い幸福度を感じることもできます。
完璧主義で、些細な間違いにも大きく反応します。
つらい思いをしている人の気持ちがわかりすぎるので、泣いている友達がいると自分も泣いてしまったりすることもあります。
殺処分されてしまう動物のことや、不幸なニュースなどにも深く心を痛めてしまい、残酷な映画などは苦手で、不公平なことは許せません。
ささいなことで動揺したり、ストレスをためてしまうこともあります。

3. ささいな刺激を察知する 「S : Sensitivity to Subtleties」

刺激を感知するセンサーが精巧で、人の髪型や服装、周囲の小さな変化に細かく気づきます。
変わったにおいがすると警戒したり、遠くの鳥の声が聞こえたり、地震を察知する人もいます。
誰かが自分を笑ったことや、ちょっとした励まし、人の機嫌も瞬時にわかってしまうのです。
また、体内の刺激にも敏感で、薬が効きやすかったり、少しの刺激で頭が痛くなったりおなかが痛くなったりと訴えます。
何か悪い病気なのではないかと不安になり、そういうところが「大げさ」と思われてしまったりします。

HSPの生きづらさ

HSPの大きな悩みは、まわりに合わせようとして無理をしてしまうことや、刺激の多い環境では疲れやすく、生きづらいことにあります。
ささいな刺激であれこれ深く考えてしまうHSPは、常に頭をフル回転させている状態です。
「いろいろなことが気になって落ち着かない」
「ちょっとしたことで落ち込みやすい」
このようにただ日常生活を送っているだけで辛く感じてしまいがちです。
なので「どうして自分はこうなんだろう」と自己肯定感の低下につながりやすく、急に涙が出てきたりすることもあります。
また、周囲のほとんどの人はHSPについて理解していないため、気にしすぎや甘えなどと言われることにも生きづらさを感じる人もいます。

HSS型HSPは好奇心が強く外向的

HSP/HSCの中には、外向的で好奇心の強い人が約30%います。
この性格をHSS(High-Sensation Seeking・刺激探求型)といいます。
退屈しやすかったり、新しい場所に行きたがったり、初めての出来事を楽しみ、珍しいものを見たがる人です。

この特性は、HSPと矛盾するようですが、それぞれ別の独立した気質です。
HSPは新しい出来事に遭遇したとき、それがどういう事態か深く考え、確認しようとします。
そのうえで、刺激を求めるタイプがHSSです。
新しい友達ができるとものすごくワクワクしますが、毎日一緒にいると変化が欲しくなり、もっと別の友達を探したりします。
新しいゲームを手に入れたとき大興奮しますが、すぐに飽きてしまいます。
楽しそうな場所へ出かけるのが大好きで、どんどん新しい刺激を追い求めたいのがHSSです。

刺激を求めないHSPはリスクを取らず、新しい世界にはなかなか入ろうとはしせんが、対してHSSは状況を十分に確認したうえで、好奇心の方が勝ってしまい、新しい世界に飛び込もうとします。

この世には4タイプの人がいる

・HSPで刺激を求めないタイプ
どちらかというと、リスクを取らず、新しい世界にはなかなか入ろうとしません。
「うん、やっぱりやめておこう」と、石橋を叩いたうえで、やっぱり渡らないタイプです。
参謀やアドバイザーのようなサポート側に向いているでしょう。。

・HSPで刺激を求めるタイプ(HSS)
状況を充分確認したうえで、それでも好奇心が勝ってしまい、新しい世界に入っていこうとします。
「よし、注意していけば大丈夫だ」と、石橋を叩いて渡るタイプです。
人の気持ちにも配慮でき、一方で大胆な決定もするような、経営者などに向いているといえます。

・非HSPで刺激を求めないタイプ
あまり物事を気にせず、現状を受け入れ、マイペースで淡々と生きています。
「ま、いっか」と、わりと堂々としているタイプです。
物事をあまり深く考えすぎず淡々とこなすので、常識的な考えができ、でしゃばることなく信頼される人になるでしょう。

・非HSPで刺激を求めるタイプ
現状をよく確認せずに、いきなり新しい世界に飛び込もうとします。
「水たまりだ!飛び込んじゃお!」と、後先考えずに楽しそうなことに突っ走るタイプです。
いわば突撃型で、新天地や新事業に飛び込んでいく人といえるでしょう。

どの性格がいいとか悪いというわけではなく、それぞれに長所と短所があり、すべてのタイプが必要です。
全タイプの人が活躍できる場であることが、よりよい社会のためにとでも大切なのです。

まとめ

HSPは病気でもなければ障害でもありません。
しかしその特性から、自己肯定感が低くなる傾向にあります。
家や学校、会社などで少しでも理解してもらい、一人ひとりの個性に合わせた関わりが実現できれば、HSPはもっと生きやすくなるでしょう。
ですがまだまだこの社会は、人と同じことが求められ、違っているとわがままだとか甘えているだとか、育て方がおかしいなどと言われかねません。
ですが、ちょっとしたできごとで大きく感性を揺らす人HSPには、わがままなくらいがいいと思います。
ほかの人とは違う特性を持っているので、その分配慮が必要なこともあるかもしれませんが、少しの思いやりで、HSPは生き生きと才能を開花させることができます。
まじめで責任感のあるHSPですから、言っていることは至極まっとうなことが多いです。

HSPの特性を理解し、自分を受け入れることが一番重要です。
知ることができれば対処することが可能になります。
HSPの特徴を持つ人が悪いわけではなく、あくまで気質です。
一人で落ち着ける時間や場所を見つけたり、たくさん寝ることで回復するなど、どうしたらストレスが軽減するのかわかれば、少しずつ生きづらさは軽減していくはずです。
まずは知ることから始めましょう。

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